🧭 はじめに:その不安、あなただけじゃない
教壇に立ち始めて数ヶ月。
子どもたちの前に立つたびに「本当に自分はこの仕事に向いているのだろうか…」と胸がざわつく。そんな経験はありませんか?
実は、この感覚はあなただけのものではありません。
むしろ、多くの先生が通る道であり、私自身も初任の頃に同じ不安を抱いていました。
教師という仕事は「知識やスキル」だけでなく、「感情」「信頼」「人間関係」で成り立つ感情労働の側面がとても大きいものです。そのため、真剣に子どもと向き合えば向き合うほど、迷いや不安が強くなるのは自然なこと。
✅ 悩むことは弱さではなく、教育に真剣に向き合っている証拠
✅ 「向いてないかも…」という気持ちは誰もが経験する通過点
この記事では、初任者の先生が感じやすい悩みを整理し、自己否定に陥らずに前に進むためのヒントをお届けします。
🧠 よくある「向いてないかも」と感じる場面
初任の先生が「自分には向いてないのでは?」と思う瞬間は、意外と似ています。ここでは、よくある場面とそのときの心情を具体的に描いてみます。
- 授業中、子どもがざわついて話を聞いてくれない
👉「私の授業、全然伝わってないのかな…」 - 保護者面談で緊張して言葉が詰まる
👉「信頼されてないかもしれない…」 - 職員室で孤立感を覚える
👉「ここにいていいのかな…」 - 子どもを注意したら泣かれてしまった
👉「傷つけてしまったかも…」 - 授業後に先輩からダメ出しをされる
👉「やっぱり向いてないと思われてる…」
こうしたシーンはどれも「あるある」。私自身も新人時代に同じ気持ちを抱いたことが何度もあります。
✅ 悩んでいるのはあなただけじゃない
✅ 不安の正体を言語化すれば、次の一歩を考えやすくなります
🧠 自己否定の正体を言語化する
「向いてない」と感じるとき、その背景には多くの場合、**“理想と現実のギャップ”**があります。
たとえば、初任の頃の私はこんな理想を抱いていました。
- 理想の教師像
「授業はテンポよく進み、子どもたちは真剣に聞き入ってくれる」
「保護者からは“この先生なら安心”と思ってもらえる」
「先輩や同僚からは“頼れる先生”と認められる」
ところが、実際に現場に立つと次々と壁にぶつかります。
- 現実の自分
授業では説明が長くなり、子どもが退屈そうに机に突っ伏す。
注意ばかりになって「叱る先生」というイメージがついてしまう。
保護者面談では言葉が詰まり、終わったあとに「もっと上手に答えられたはず」と自己嫌悪。
職員室では相談相手を見つけられず、孤立感を抱く。
このように、「こうありたい自分」と「現実の自分」の落差こそが、
「私は教師に向いていないのでは…」という自己否定を生み出してしまうのです。
自己否定をほどく3つの問い(具体例つき)
では、どうすれば自己否定のループから抜け出せるのでしょうか。
そのヒントが次の 3つの問い です。
- 「何がうまくいっていないと感じているのか?」
👉 例:「授業がうまくいかない」という漠然とした不安を、「板書に時間がかかりすぎて説明が途中で終わる」と具体化する。
具体化できれば、「板書をシンプルにする」「要点だけを先に書いてから説明する」など、解決に向けた工夫が見えてきます。 - 「それは本当に自分のせいなのか?」
👉 例:学級が落ち着かないのは、自分の指導力不足だけでなく、学年全体の雰囲気や子どもたちの特性が影響している場合も多い。
「全部自分のせい」と思い込むのではなく、「環境要因」と「自分にできる工夫」を切り分けることで、冷静に対処できます。 - 「自分の得意なことは何か?」
👉 例:授業運営はまだ苦手でも、「子どもの話をじっくり聞く」「休み時間に気軽に声をかける」ことが得意なら、それも立派な強み。
得意なことに目を向けると、自分の存在価値を再確認でき、バランスを取り戻せます。
🌱 実践ワーク:価値観マトリクス(使い方イメージ)
紙に4つの象限を描き、日常業務を振り分けてみましょう。
区分 | 例 |
---|---|
好き × 得意 | 子どもとの雑談、個別指導、学級通信の執筆 |
好き × 不得意 | ICT活用、掲示物づくり、音楽や図工の授業 |
嫌い × 得意 | 成績処理、細かな事務作業 |
嫌い × 不得意 | 行事運営、保護者対応、大人数の前での発表 |
👉 実際に書き出すと、「全部が苦手」というのは思い込みだったと気づけます。
例えば「保護者対応は嫌いで不得意だけど、学級通信を書くのは好きで得意」と分かれば、自分の得意分野を強みに変えていけるのです。
このワークは「どの部分で無理をしているのか」「どこにエネルギーを注げば充実感を得やすいのか」を整理するのに役立ちます。
👉 このように 不安を抽象的な「向いてない」という言葉のままにしないで、具体的に切り分けて言語化することが、自己否定をほどく第一歩になります。
🌱 向き合い方のヒント:5つの視点
では、どうすれば「向いてないかも」という不安と上手に付き合えるのでしょうか。
ここでは実践しやすい 5つの視点 を紹介します。
1. 感情を言葉にする ✍️
モヤモヤを抱え込むと、不安は雪だるま式に大きくなってしまいます。
言葉にするだけで頭の中が整理され、気持ちも少し軽くなるものです。
✅ 実践例
- 帰宅後に5分だけ「今日のハイライトと気持ち」を日記に書く
- 通勤中にスマホの音声メモで「今日疲れた理由」をつぶやく
- 誰にも見せない前提で、非公開SNSに思いを吐き出す
👉 私自身も「今日は授業が空回りした。でも子どもが『先生、また明日!』と言ってくれて救われた」と書いたことがあります。後で読み返すと、落ち込んだ日でも小さな光があったと気づけました。
2. 小さな成功を記録する 🌟
教師は「できなかったこと」に目を向けがちです。
でも、自己肯定感は“成功の積み重ね”でしか育たないのです。
✅ 実践例
- 「子どもが自分から挙手してくれた」
- 「昨日より板書のスピードが上がった」
- 「同僚に『ありがとう』と言われた」
👉 これらは一見ささいですが、日記や手帳に1日1つずつ書きためると、後で振り返ったときに「自分も成長している」と実感できます。テストの点数や成果だけでは測れない、日常の小さな進歩があなたを支えます。
3. 相談できる人を見つける 🤝
孤立感は、不安を何倍にも膨らませてしまいます。
「こんなことで相談していいのかな…」と思うことでも、誰かに話すだけで楽になるものです。
✅ 実践例
- 同じ学年の先生に「昨日の授業、時間配分どうしてますか?」と軽く聞いてみる
- 信頼できる先輩に「自分の叱り方、きつくないですか?」と率直に相談する
- 教員向けのオンラインコミュニティに参加し、全国の先生の工夫を知る
👉 実際に、私は「保護者対応が怖い」と先輩に打ち明けたことで、面談の進め方を教わり、大きな安心を得られました。悩みは共有すると“解決の知恵”に変わります。
4. 教員以外の選択肢も知る 🚪
「辞める=逃げ」ではありません。
教育に関わる道は、学校以外にも広がっています。
✅ 選択肢の例
- 教育ライターとして教材や記事を執筆
- 学習塾や予備校で指導に携わる
- 福祉施設や子ども支援団体での活動
- 企業研修や教育系NPOでの仕事
👉 「もし今の環境が合わなくても、他の道がある」と知るだけで、気持ちはぐっと楽になります。私の周りでも、一度学校を離れて教育関連の仕事をしたあと、また教員に戻った人もいます。キャリアは一つに縛られません。
5. 自分の“教育観”を再確認する 🎓
忙しい日々に追われると、最初に抱いていた「なぜ教師になったのか」という思いを忘れてしまいがちです。
でも、初心を思い出すことで、不安の中にも自分の軸が見えてきます。
✅ 実践例
- ノートに「教師を志した理由」を書き出す
- 「子どもに寄り添いたい」という言葉を職員室の机に貼る
- 教員採用試験の面接で答えたことをもう一度読み返す
👉 私も初任のころ、「子どもが安心できる居場所を作りたい」と書いたメモを手帳に挟んでいました。授業がうまくいかなくても、その言葉を見返すと「完璧じゃなくても、自分は子どもに寄り添えている」と思えました。
👉 こうして 5つの視点を実生活に取り入れることで、不安と戦うのではなく“不安と上手に付き合う”ことができるようになります。
🌱 おわりに:あなたの悩みは、誰かの希望になる
教師として悩むことは、決して弱さではありません。
それはむしろ、子どもたちと真剣に向き合っている証拠。
あなたが感じた不安や迷いは、これから教師になる誰かにとっての道しるべになります。
私はこのブログを、初任の先生が安心して「悩みを言葉にできる場所」にしていきたいと考えています。
どうか、あなたの教育の旅が少しでも安心と希望に満ちたものでありますように。
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