「子どもに怒鳴ってしまった…」翌日の教室にどう立つか|元教師が教える”やらかした後”のリカバリー5ステップ

元教師のアドバイス

「もう、いい加減にしなさい!」

気がついたら教室中に響く声で、子どもたちを怒鳴っていた。

シーンと静まり返った教室。下を向く子、ビクッと肩を震わせた子、こちらをにらむ子。その光景を見た瞬間、頭の中がスーッと冷えていく――。

「やってしまった」

放課後、誰もいなくなった教室で、ひとり机に突っ伏す「あんなふうに怒鳴るつもりじゃなかった」「子どもたち、明日もう私のこと信頼してくれないかも」「自分、教師に向いてないんじゃないか」――そんな考えがぐるぐる回って眠れなくなる。

このページにたどり着いたあなたは、たぶん今、まさにその状態にいると思います。

大丈夫です。それ、私もやりました。何回も。

この記事では、元教師の私が「怒鳴ってしまった翌日」の教室にどう立ち直ったか、そして新任教師さんに知っておいてほしい「やらかした後のリカバリー5ステップ」をお伝えします。読み終わるころには、明日の朝、教室のドアを開ける勇気が少し戻っているはずです。

元教師の私も、教室で怒鳴ってやらかした話

正直に書きます。私も新任のころ、教室で何度も怒鳴りました。

一番覚えているのは5月の中旬。GWが明けて、4月にあれだけ「いいクラスにしよう」と頑張って作ったルールが、ぐずぐずと崩れていく時期でした。

授業中の私語が止まらない。指示が通らない。「先生〜!」と何度も呼ばれて、注意してもまた笑いながら同じことを繰り返す。5時間目、ある男の子がふざけて隣の子を蹴った瞬間、私の中で何かがブツッと切れて、「いい加減にしろー!」と怒鳴ってしまったんです。

教室はシーン。何人かの女の子は泣きそうな顔。蹴った男の子は、固まってこちらを見ていました。

その日の放課後、誰もいない教室で「もう辞めたい」と本気で思いました。家に帰っても眠れず、翌朝の通勤の車の中で胃がキリキリ痛んで、コンビニのトイレに駆け込んだのを今でも覚えています。

でも、結論から言うと――翌日からの数日間でやったある対応で、クラスは元に戻りました。それどころか、その出来事の後、子どもたちとの関係はむしろ深まったと感じています。

そのとき私がやったことを、これからお伝えします。

怒鳴った翌朝、子どもたちはあなたをどう見ているか

まず知っておいてほしいのは、子どもたちはあなたが思うほど、あなたを「怖い先生」「ダメな先生」だとは思っていない、ということ。

もちろん、怒鳴られた瞬間はびっくりするし、こわい子もいる。でも子どもは大人が思っている以上に、こちらの「本気度」と「気持ち」を読み取っています。

翌朝の子どもたちの反応は、だいたいこの3パターンに分かれます。

  • 何もなかったかのように普通に話しかけてくる子(実は一番多い)
  • 少し距離を取って、こちらの様子をうかがう子
  • 「先生、昨日怒ってた?」と直接聞いてくる子

怖いのは、自分が一晩中悩んだぶん、「子どもたちも同じくらい引きずっているはず」と思い込んでしまうこと。実際には、子どもたちはあなたの100分の1も引きずっていません

だからこそ、こちらが必要以上にビクビクしたり、変に過剰なフォローをするほうが逆効果になります。大事なのは、「やってしまったこと」をなかったことにせず、しかし大げさにもしない、淡々とした「リカバリー」です。

リカバリー5ステップ|元教師が翌日から実際にやったこと

ここからが本題。私が実際にやって、関係修復に効いた5ステップです。順番にやってください。

ステップ1:朝、教室に入る前に「自分を認め、許す」

子どもに謝る前に、まず自分を認め、許してあげてください

「昨日は本当にしんどかったね。よく今日も学校に来たね」と。

怒鳴ってしまうほど追い詰められていたのは、あなたがダメだからじゃない。余裕がなくなるほど頑張っていたからです。そんな自分をまず認めて、許す。これができないと、子どもの前で自然な顔ができません。

トイレの個室で深呼吸を3回。これだけでだいぶ整います。

ステップ2:朝の会で「短く・誠実に」謝る

朝の会の最後、健康観察が終わったあたりで、こう言ってください。

「昨日、先生、5時間目に大きな声で怒ってしまいました。びっくりさせてごめんなさい。怒った気持ちは本当だけど、あんなふうに怒鳴るのは違ったなと、家で反省しました。今日からまた、いいクラスをみんなと作っていきたいです」

ポイントは3つ。

  • 長く話さない(30秒以内)
  • 言い訳しない(「でも、あなたたちが〜」は絶対NG)
  • 怒った理由は否定しない(「気持ちは本当」と認める)

大人が自分の非を認めて謝る姿は、子どもにとって最高の道徳教材です。「先生でも間違えるんだ。間違えたら謝るんだ」――これが伝わると、クラスは一段階大人になります。

ステップ3:怒鳴った相手の子に、別個に一言かける

クラス全体への謝罪とは別に、怒鳴ってしまった対象の子には、休み時間に個別に声をかけてください

私は、蹴った男の子に1時間目のあとの休み時間、廊下でこう言いました。

「昨日、大きな声でびっくりさせてごめんね。○○くんが隣の子を蹴ったのは、先生はやっぱりダメだと思ってる。でも、怒鳴り方は先生が悪かった」

その子は「うん、もうしない」とぽつりと言って、ちょっと笑いました。たぶん、彼も一晩気にしていたのだと思います。

ステップ4:その日のうちに、いつもより少しだけ笑う

謝った後にやりがちな失敗が、「申し訳なさそうにずっとシュンとしている」こと。

これ、子どもからすると「先生がしんどそう」「私たちのせいだ」と感じさせてしまいます。

謝罪はビシッと済ませる。済ませたら、その後はいつも通り、むしろちょっとだけテンション高めで授業をする。給食中も冗談を言う。これが大事です。

「もう昨日のことは終わった。今日からまたやろう」というメッセージを、態度で示してください。

ステップ5:その日の夜、ノートに「怒鳴る前のサイン」を書き出す

家に帰ったら、ノートを1冊用意して、「怒鳴る直前、自分にどんな身体感覚があったか」を書き出します。

  • 声が大きくなった
  • 呼吸が浅くなった
  • 顔が熱くなった
  • こめかみが痛くなった

これが、次にあなたを救う「アラート」になります。同じサインを感じたら、「あ、ヤバいぞ」と気づける。気づければ、深呼吸する・水を飲みに行く・廊下に出る、などのワンクッションを入れられます。

それでも自己嫌悪が消えないあなたへ

5ステップやってもなお、夜になると「やっぱり自分は教師失格だ」と落ち込む夜があると思います。

断言します。怒鳴ってしまったあとに自己嫌悪する先生は、ぜんぶ「いい先生」です

本当に教師に向いていない人は、怒鳴ったあと「あの子が悪いんだから当然」と1ミリも反省しません。あなたが眠れないほど悩むのは、あなたが子どもを大事に思っている証拠です。

自己嫌悪との具体的な向き合い方は、こちらの記事に詳しく書きました。あわせて読んでみてください。

👉 【元教師が伝えたい】新任教師の自己嫌悪との向き合い方|元教師が教える折れない心のつくり方

「怒鳴らない自分」になるための、明日からの予防策3つ

リカバリーと同じくらい大事なのが、同じことを繰り返さない仕組み作りです。私がやって効いた3つを紹介します。

1. 「怒る基準」を3つだけに絞る

あれもこれも注意していると、自分が消耗して爆発します。「これだけは絶対許さない」を3つに絞り、それ以外はスルーすると決めてください。

私のクラスのルールはこの3つでした。

  • 人の身体を傷つける
  • 人の心を傷つける言葉を言う
  • 人の物を勝手に取る・壊す

これ以外の細かいことは「気になるけど命に関わらないからスルー」と自分に許可を出すと、心がラクになります。

2. 5時間目の前にコップ1杯の水を飲む

地味ですが効きます。怒鳴ってしまうのはたいてい午後、それも5時間目以降。疲れと水分不足とで、感情のフタが緩む時間帯です。

給食後にコップ1杯、5時間目前にもう1杯。これだけで「ブツッ」と切れる確率が体感半分くらいになります。

3. 寝る前に「今日できたこと」を3つ書く

怒鳴ってしまった日ほど、その日できたことを思い出してください。

  • 朝、子ども一人ひとりと挨拶できた
  • 3時間目の算数、〇〇さんが手を上げた
  • 給食を完食する子が増えた

「自分はダメ」モードのまま寝ると、翌朝も「ダメ」から始まります。小さくていいから「できたこと」で1日を締めくくると、翌朝の気持ちが全然違います。

それでも、もう本気でしんどいときは

5ステップも予防策もやってみた。それでも毎週のように怒鳴ってしまう、毎朝起きるのがつらい、日曜の夜が怖い――そんな状態が2ヶ月以上続いているなら、あなたは「向いていない」のではなく、「環境が壊れている」可能性が高いです。

無理に続けて心を壊す前に、「逃げ道があると知っておく」ことだけでも、心はずいぶんラクになります。私自身、現役教師時代にdodaに登録して、面接まで受けに行った経験があります。結果的には教師を続けたのですが、「いつでも辞められる」と知っていることが、教室で深呼吸する余裕を生んだと今でも思っています。

その話はこちらに詳しく書いています。今すぐ辞める必要はないけれど、選択肢として知っておく価値はあります。

👉 「教師を辞めたい、朝起きられない」あなたへ|元教員がdoda面接まで行って結局辞めなかった話と、それでも辞めるべき3つのサイン

また、5月のこの時期に「クラスが崩れてきた」と感じているなら、こちらの記事もあわせて読むと立て直しのヒントになります。

👉 「GW明けに子どもが急に荒れてきた…」5月の学級崩壊サインと新任教師がやるべき早期対処法

まとめ|怒鳴ってしまった夜の、あなたへ

最後にもう一度だけ。

怒鳴ってしまったあなたは、悪い先生じゃない。むしろ、子どもを大事に思っているからこそ、自分を責めている「いい先生」です

明日の朝、ノートを開いて今日のステップを1つだけでもやってみてください。

  1. 朝、自分を認めて「よくがんばったね」と許す
  2. 朝の会で30秒、誠実に謝る
  3. 怒鳴った相手の子に、休み時間に一言かける
  4. その後はいつも通り、ちょっとだけ笑う
  5. 夜、怒鳴る前のサインをノートに書く

子どもたちは、あなたが思うよりずっとずっと、あなたのことを好きでいてくれます。一緒に、もう少しだけがんばってみませんか。

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