「外で遊べない週が続いて、教室の中が日に日にうるさくなってきた…」
「休み時間にケンカが増えて、5時間目が始まる頃には自分も疲れ果てている」
「雨の日の昼休みって、新任の自分はどう過ごさせるのが正解なんだろう?」
5月後半から6月にかけてやってくる梅雨。新任教師にとって、この時期は「外遊びができない週」が突然やってくる、という意味で大きな試練の時期です。
外で発散できないエネルギーが教室にこもり、休み時間が荒れる。荒れたまま授業に入るので集中も続かない。気づけば1日の終わりにグッタリ……。私自身、初任のころに一番苦しんだのが、この「梅雨入りからの2週間」でした。
でも、ここを乗り越えるコツはちゃんとあります。「雨の日に何をするか」を、雨が降ってから考えるのではなく、降る前にルーティン化しておくこと。これだけで、教室の空気はまったく変わります。
この記事では、元教師が実際に効果を感じた「雨の日ルーティン」の作り方を、新任教師向けに5つの切り口で解説します。今のうちに準備しておけば、6月のあの「ジメジメ・ザワザワ」に飲み込まれずにすみます。
なぜ梅雨の教室は荒れやすいのか?まず原因を理解する
対策を立てる前に、「なぜ雨の日に教室が荒れるのか」を一度整理しておきます。原因がわかれば、対処は驚くほどシンプルになります。
①身体的エネルギーの行き場がない
小学生は、休み時間に運動場で走り回ることで身体的なエネルギーを発散しています。それができない日が3日、4日と続くと、子どもの中に「使い切れていないエネルギー」が溜まっていきます。これが教室内での追いかけっこ、机をバンバン叩く、大声を出す、といった行動になって出てきます。
②気圧と湿度のストレス
梅雨時は気圧が低く、湿度も高い。これは大人でも頭が重くイライラしやすい状態です。子どもはこの不快感を言葉で表現できないぶん、行動で出してきます。「いつもよりキレやすい」「ちょっとしたことで泣く」のは、本人の問題というより気候の問題であることも多いです。
③「やることが決まっていない」時間の怖さ
外遊びができる日は、休み時間の過ごし方を子ども自身が決められます。でも雨の日は「教室で何していいかわからない」状態の子が一気に増えます。“暇”が荒れの最大の原因です。子どもは暇になると、隣の子にちょっかいを出すか、机の周りをウロウロし始めるか、教室を走り出します。
ルーティン①:雨の日専用「教室メニュー」を黒板に貼っておく
一番効くのが、これです。「雨の日はこの中から好きなものを選んでね」というメニュー表を、最初から準備しておく。
私の場合、A4サイズの紙に大きく「あめのひメニュー」と書いて、いつでも黒板の端に貼れるようにしていました。中身はたとえば次のようなものです。
- 図書コーナーで本を読む
- お絵かき・自由帳
- 折り紙
- あやとり
- トランプ・UNO(学校で許可されていれば)
- 係の活動を進める
- 窓辺で外の雨を観察する(理科ネタにもなる)
大事なのは、「自由に過ごしていいよ」ではなく、「この中から選んでね」と選択肢を絞ることです。子どもにとって「自由」は意外と難しい。選択肢が多すぎると決められず、結局走り回る方向に流れます。
このメニュー表を雨が降った日の朝の会で示すだけで、休み時間の動きが目に見えて落ち着きます。
ルーティン②:教室の「遊び道具ボックス」を充実させておく
メニューを示しても、肝心の道具がなければ意味がありません。今のうちに、教室の片隅に「雨の日ボックス」を作っておきましょう。
中身の例はこんな感じです。学級費で買えるもの、家にあるものを持ち寄れるものを組み合わせると、ほとんどお金はかかりません。
- あやとりひも(毛糸を1mくらいに切るだけでOK)
- 折り紙(多めに用意)
- トランプ2〜3組
- UNO・ナンジャモンジャなどの軽めのカードゲーム
- けん玉、お手玉
- 白い画用紙とサインペン
- パズル(100ピース以下のものを2〜3個)
これを雨の日の朝に「今日はあめのひボックスから自由に使っていいよ」と一言添えるだけで、子どもは勝手に遊び始めます。教師が指示で動かすのではなく、環境で動かす。これが雨の日対応の基本です。
初任のころ、私はこのボックスを作らずに毎回「今日は雨だから静かに過ごしてね」とだけ言っていました。当然うまくいきません。「静かに」と言われても、何をしていいかわからない子どもは結局ザワつくしかなかったのです。
ルーティン③:5分でできる「教室レク」を3つ持っておく
もう一段上のテクニックとして、休み時間に教師主導で短いレクをやってしまう方法があります。雨が3日続いた、午後がぐずぐずになりそう、という日に発動します。
5分でサッとできて、道具がいらないものを3つくらい持っておくと安心です。私が実際に使っていたのはこの3つです。
①「先生クイズ」
「先生の好きな食べ物は?①寿司②ラーメン③カレー」みたいな三択クイズを5問。子どもは先生のことを知るのが大好きなので、めちゃくちゃ盛り上がります。準備時間ゼロです。
②「フルーツバスケット(席バージョン)」
立たずに、机を叩く・手を上げる、などのアレンジでもOK。「今日朝ごはんパンの人〜」「靴下白い人〜」など。場所も道具もいりません。
③「ジェスチャーゲーム」
1人がジェスチャー、みんなで当てる。低学年は動物、中学年は職業、高学年は映画タイトルなど、学年に合わせて難易度を変えます。
ポイントは、「やる」と決めたら短く、ダラダラ続けないこと。5分で切り上げて、「楽しかった!」のテンションのまま授業に入ると、午後の集中力がまったく違ってきます。
ルーティン④:身体を動かす「教室で5分エクササイズ」を仕込んでおく
外で走れない日が続くと、本当に身体が固くなります。3時間目と4時間目の間、給食の前など、ちょっとした隙間で体を動かす時間を作ると、教室の空気が一気に変わります。
おすすめはこの3つです。
- YouTubeのダンス動画を1曲だけ(パプリカ、ジャンボリミッキーなど。低学年〜中学年は鉄板)
- ラジオ体操第一(音源さえあれば3分。意外と本気でやると汗ばむ)
- 「先生のまね」体操(教師が前で適当な動きをして、子どもが真似する。30秒×3セット)
「ちょっと体動かすよ〜」と一言かけるだけで、子どもの目の色が変わります。「授業を止めるなんて」と思うかもしれませんが、5分使って残り35分の集中力が戻るなら、絶対に元が取れます。
ルーティン⑤:荒れの「サイン」を早めに拾う
準備をしても、雨が長引くと教室はどうしても荒れやすくなります。そのとき大事なのは、「サインに早く気づくこと」です。
具体的には次のような変化に気をつけてください。
- 休み時間の声のボリュームが、いつもより1段大きい
- ケンカやトラブルの報告が増えた
- 授業中、最初の指示が通りにくい
- 掃除や給食の準備が、いつもよりダラダラしている
こうしたサインが見えたら、すぐに「全員座って、いったん深呼吸」「今日は5分だけレクを入れる」など、流れを切り替える行動を取ってください。気づいた時点ですぐ動けるかどうかが、梅雨を無事に越えられるかの分かれ目になります。
サインの見つけ方や対処の細かい部分は、こちらの記事も参考になります。
👉 「GW明けに子どもが急に荒れてきた…」5月の学級崩壊サインと新任教師がやるべき早期対処法
また、雨の日は「立ち歩き」が出やすい時期でもあります。具体的な指導法はこちらにまとめています。
👉 「授業中に立ち歩く子、どうすれば座ってくれる?」新任教師が実践すべき具体的な指導法
新任の自分自身の「梅雨対策」も忘れずに
最後にひとつ。雨が続く時期は、子どもだけでなく先生自身もメンタルが落ちやすい時期です。私も初任の6月、毎朝「今日も雨か……」と思うだけで気が重くなる日が続きました。
意識してほしいのは、こんなこと。
- 放課後すぐに帰れる日を週1日は作る(残業を「常態化」しない)
- 夜は早めに寝る(湿気のある時期は本当に疲れる)
- 「雨の日にうまくいかなかった日」を、自分の指導力のせいにしない
気候のせいで荒れる部分は、誰がやっても多少は荒れます。それを全部「自分が悪い」と背負い込むと、6月の終わりには本当に消耗してしまいます。
まとめ:梅雨は「準備した人だけが勝てる」シーズン
梅雨時期の教室は、準備しているかいないかで、本当に景色が変わります。
ポイントを5つまとめておきます。
- 「あめのひメニュー」を黒板に貼る準備をしておく
- 「あめのひボックス」を教室の片隅に作っておく
- 5分でできる教室レクを3つストックしておく
- 5分エクササイズで身体を動かす時間を入れる
- 荒れのサインに早く気づき、すぐ流れを切り替える
雨が降ってから慌てて考えるのと、降る前から仕込んでおくのとでは、6月の自分の疲労度がまったく違います。今週末、100均と図書室にちょっと寄って、「あめのひボックス」の中身を集めるところから始めてみてください。
梅雨を制すれば、1学期は乗り切れます。応援しています。


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