まず知っておくべき「立ち歩きの3つのタイプ」
立ち歩く子を一律に「問題行動」として叱っても、改善しないどころか悪化することがあります。なぜなら、立ち歩きには「理由」があるからです。大きく3つのタイプに分けられます。① 刺激・動きを求めているタイプ
じっとしていることが苦手で、体を動かすことで気持ちを整えている子です。多動傾向のある子に多く、「悪意があって立っている」わけではありません。静かに座り続けること自体がとても難しい状態にあります。② 課題がわからない・つまらないタイプ
授業の内容が難しすぎてついていけない、または簡単すぎて退屈してしまい、気づいたら立っているケースです。「何をすればいいかわからない」ときに体が動き出す子は意外と多いです。③ ルールを理解・納得していないタイプ
「なんで座らなきゃいけないの?」というルール自体への疑問や反発が根底にある子です。4月の学級開きで「授業中は座る」というルールが十分に共有できていないと、こうなりがちです。 まず「この子はどのタイプだろう?」と観察することが、指導の出発点です。やってしまいがちなNG対応3つ
立ち歩きへの対応で、新任教師が陥りやすいミスがあります。NG①「何度も大声で叱る」
叱るたびに授業が止まり、クラス全体の集中が切れます。また、叱られることが「注目される刺激」になってしまい、むしろ立ち歩きが増えるケースも。特に①の「刺激・動きを求めているタイプ」の子には逆効果になりがちです。NG②「完全に無視する」
「問題行動には注目しない」というアプローチは、一定の効果があります。しかし、他の子が「先生、〇〇くんが立ってる」と言い出したとき何も対応しないと、クラス全体のルールへの信頼が崩れます。完全放置はNGです。NG③「その場でじっくり個別対応する」
授業の流れを止めて「なんで立つの?座って!ほら!」と長々と話しかけるのもよくありません。周りの子を待たせることになり、トラブルになることも。対応は短く・後でが基本です。立ち歩きを減らす「予防策」3つ
問題が起きてから対応するより、立ち歩きが起きにくい環境を作ることが先決です。① 座っているときに肯定的な注目を与える
立ち歩いたときだけ声をかけるのではなく、座って取り組んでいるときに「よく頑張ってるね」と声をかけることが大切です。「座っていると注目してもらえる」という経験を積み重ねましょう。② 活動の時間を短く区切る
じっとしていられる時間には限界があります。「5分書いたら確認」「読んだら隣の人と話してみて」など、短いサイクルで活動を切り替えると、立ち歩くタイミングを減らすことができます。③ 座席や活動内容を工夫する
立ち歩きが多い子は、教室の後ろや端に座席を置くことで、他の子への影響を最小限にできます。また、ノート作業よりもカードを並べる・書き込む・貼るなど手を動かす活動は、じっとしていられない子でも取り組みやすいです。立ち歩いてしまったときの具体的な対応ステップ
それでも立ち歩いてしまったとき、どう動けばいいか。私が実践していた流れをご紹介します。ステップ1:短く・静かに・近づいて伝える
授業を止めずに、その子の隣に移動して小声で「座ろう」とだけ伝えます。クラス全体に向けて注意するより、個別に伝える方がずっと効果的です。ステップ2:すぐに授業に戻る
「座ろう」と伝えたらすぐに授業に戻ります。長々と理由を問いただすのはこのタイミングではやりません。授業の流れを止めないことが最優先です。ステップ3:座れたらすぐに認める
座ってくれたら、数秒以内に「ありがとう」「よし」と一言添える。これが次の立ち歩きを防ぐ一番の方法です。怒って座らせて終わりにしないことが重要です。ステップ4:授業後に原因を探る
授業が終わったら、ゆっくりその子と話す時間を作ります。「さっき立ってたね。何かあった?」と責めずに聞くスタンスで。「わからなかった」「つまんなかった」という答えが返ってくることも多く、それが授業改善のヒントになります。ステップ5:記録して傾向をつかむ
「何時間目の、どの活動のときに立ちやすいか」を記録しておくと、対策を立てやすくなります。特定の教科だけ、特定の活動だけ立つ、という場合は授業構成の見直しが有効です。特別支援が必要なケースを見極めるポイント
上記の対応を続けても改善が見られない場合、発達特性が関係している可能性があります。以下に当てはまる場合は、管理職や特別支援コーディネーターに相談することをおすすめします。- 毎時間、ほぼ例外なく立ち歩く
- 危険な行動(走り回る・他の子にぶつかる)を伴う
- 本人が「なぜ叱られているかわからない」様子がある
- 家庭でも同様の様子があると保護者が話している
クラス全体への影響を最小化するために
立ち歩く子がいると、授業に集中したい他の子たちも影響を受けます。クラス全体への影響を最小化するために意識したいことをまとめます。- 「〇〇くんだけ特別扱い」と思われないようにする:立ち歩いたときに過剰に反応すると、他の子が「なんで怒らないの?」と不公平感を持つことがあります。全体に向けた指導のルールを一本筋として持つことが大切です。
- 授業のテンポを意識する:待ち時間の多い授業ほど、立ち歩きは増えます。説明は短く、子どもが動く活動を取り入れると全体の集中度が上がります。
- 立ち歩きを「個人の問題」として孤立させない:クラス全体で「みんなが集中できる教室にしよう」という雰囲気を作ると、立ち歩く子も浮かずに落ち着けるようになります。
まとめ:立ち歩きは「なぜ立つのか」から考える
授業中の立ち歩きへの対応をまとめます。- 立ち歩きには「刺激を求めている」「わからない・つまらない」「ルールへの反発」の3タイプがある
- 怒鳴る・完全無視・授業を止めて長々と対応するのはNG
- 座っているときに積極的に認め、活動を短く区切る予防策が効果的
- 立ち歩いたときは「短く・近くで・静かに」伝え、座れたらすぐ認める
- 改善が見られない場合は特別支援コーディネーターへ相談する
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