「運動会の練習、子どもがまとまらない…」新任教師が直面する運動会指導の乗り越え方|元教師が教える具体的なコツ

元教師のアドバイス

「練習なのに子どもが全然まとまらない…」「大声で怒鳴っても動かない…」「本番まであと2週間しかないのに、どうすればいいんだ…」

5月になると、多くの小学校で運動会の練習が始まります。新任教師にとって、この時期は最初の大きな試練と言っても過言ではありません。

学級経営がまだ固まりきっていない時期に、全体練習・学年練習・係活動が一気に押し寄せてくる。子どもたちは興奮して浮き足立ち、いつもより言うことを聞かなくなる。そんな状況に追い詰められて、「自分は教師に向いていないんじゃないか」と感じてしまう方も少なくありません。

でも、安心してください。運動会練習でうまくいかないのは、あなたの指導力の問題ではありません初めて経験するイベント特有の「混乱のパターン」があるだけです。

この記事では、元教師である私が実際に経験した失敗と、そこから学んだ「運動会練習を乗り越えるための具体的なコツ」をお伝えします。

運動会練習で新任教師がつまずく3つのポイント

まず、なぜ運動会練習は難しいのかを整理しておきましょう。新任教師が特につまずきやすいのは、次の3つです。

① 整列・移動がいつまでも終わらない

「並んで!」と言っても、しゃべり続ける子、ふざけて列を乱す子、となりの友達と絡んでいる子…。グラウンドは広く、声が通りにくい。教室と違って、なかなか静止させることができません。

私が1年目のとき、整列に毎回10分以上かかっていました。そのたびに感じる焦りと、じわじわ広がる「なんでこんなこともできないんだ」という怒りの感情。怒鳴るほどに子どもは固まり、練習の時間が削られていく悪循環でした。

② 応援練習や表現で声・動きが出ない

ダンスや組み体操、応援合戦などでは、子どもたちの「やる気」が可視化されます。声が出ない、動きが小さい、ぼーっとしている。こういう場面で「なんで本気でやらないの!」と叱っても、子どもたちはどんどん表情が暗くなり、さらにやる気を失っていきます。

③ 係の仕事と学級指導の両立が難しい

運動会では、担任として自分のクラスの指導をしながら、係(準備係・審判係・放送係など)の仕事もこなさなければなりません。全体練習中に係の仕事で抜けなければならないタイミングと、クラスをまとめなければならないタイミングが重なることもあり、「どっちを優先すれば…」と混乱する新任教師は多いです。

元教師が実践した「練習がまとまる」3つの工夫

つまずきのポイントがわかったところで、実際に私が試してうまくいった方法を紹介します。

① 練習前の「最初の2分」で空気を作る

グラウンドに出る前、教室の段階で「今日の練習でやること」と「ゴール(どんな状態になれば合格か)」を子どもたちと共有しましょう。

たとえば、こんな声かけです。

「今日の練習では、整列を3分以内に終わらせることを目標にします。先生が笛を鳴らしてから3分以内に静止できたら合格。みんなならできると思ってます。」

ゴールが明確になると、子どもたちは「頑張ってみようかな」という気持ちになります。そして達成できたときの達成感が、次の練習へのやる気につながります

② 「待ち時間」をどう使うかが勝負

運動会練習で最もダレやすいのが「待ち時間」です。他のクラスの演技を見ている時間、移動を待っている時間…。この時間に子どもたちを放置すると、必ずふざけたり、トラブルになります。

私が実践していたのは、待ち時間を「観察タイム」に変えることです。

  • 「他のクラスの演技を見て、すごいと思ったところを1つ見つけておいて」
  • 「自分の出番前に、心の中で動きをイメージしておこう」
  • 「隣の人と今日の振り返りを30秒で話し合ってみよう」

こうした「何かをする理由」を与えることで、子どもたちは目的を持って待てるようになります。結果的に、再開したときの集中力も上がります。

③ 「できたこと」を具体的に言葉にして褒める

新任教師がやりがちなのが、「なんでできないの!」「もっとちゃんとやって!」という叱り方です。でも、これでは子どもたちは萎縮するだけで、行動は変わりません。

効果的なのは、「できていること」を具体的に言語化することです。

「さっきより5秒早く整列できた!」
「3組の中でいちばん声が出てた!」
「Aくん、動きを最後まで止めずにできてたね」

具体的に褒められると、子どもたちは「自分はできている」という自信を持てます。自信がつくと、次はもっとやってみようというエネルギーが生まれます。これ練習を通じて学級がまとまっていくプロセスです。

指示が通らないときに試してほしいこと

それでも「言っても聞かない」「同じことを何度も注意している」という場面は必ず来ます。そんなときのために、私が効果を感じた対処法をお伝えします。

大声で怒鳴るのをやめてみる

グラウンドでは声が通りにくいため、ついつい怒鳴りたくなります。しかし大声で怒鳴ると、子どもたちは「先生が怖い」と感じるだけで、指示の内容は頭に入りません。

逆に効果的なのが、「静かに、低い声で話す」です。先生が静かになると、子どもたちは「あ、何か言おうとしてる」と気づき、自然と注目が集まります。これは教室での学級経営と同じ原理です。

「止まる → 聞く → 動く」の3段階を繰り返す

指示が通らないとき、先生側が焦って次々と言葉を重ねてしまうことがあります。でも、子どもたちには情報が多すぎて処理できません。

私が意識していたのは、1回の指示を短くすること。

  1. 「止まって!」(動きを止めさせる)
  2. 「先生を見て」(視線を集める)
  3. 「○○をします。できる人は立って」(行動を促す)

この3段階を徹底するだけで、指示の通りやすさがかなり変わります。最初はゆっくりやりすぎるくらいでいいんです。慣れてくれば自然とテンポが上がります。

「保護者に見られている」プレッシャーとの向き合い方

運動会は、保護者が担任の指導力を「直接見る」数少ない機会でもあります。「うまく指導できていなかったら、クレームが来るんじゃないか」という不安を感じる方も多いでしょう。

でも、保護者が本当に見ているのは「先生がどれだけ子どもを叱れるか」ではなく、「先生が子どもたちを大切にしているか」「子どもたちが楽しそうにしているか」です。

完璧な整列よりも、先生が笑顔で子どもたちに声をかけていること。ミスをしてしまったときに責めるのではなく、「次は大丈夫!」と励ます姿。そういう場面が保護者の信頼につながります。保護者との関係は、行事を通じて少しずつ築かれていくものです。

運動会が終わったあと、学級はぐっと強くなる

実は、運動会は学級経営の大きなチャンスです。

練習を通じて子どもたちは「一緒に頑張る経験」を積みます。本番で一生懸命取り組んで、終わったときに「やりきった!」という達成感を味わう。この経験がクラスとしての一体感を生み出します

私が初めて担任した学級では、4月の段階でバラバラだったクラスが、運動会を経て一気にまとまりを見せました。練習中はしんどかったけれど、終わったあとの子どもたちの表情を見て、「これが学級経営なんだな」と実感したことを今でも覚えています。

うまくいかない日があっても大丈夫。「今日より明日、昨日より今日」という気持ちで一歩ずつ前進することが、新任教師には何より大切です。もし気持ちが折れそうになったときは、折れない心の作り方の記事も参考にしてみてください。

まとめ:運動会練習は「学級をまとめる最高の経験」

この記事で紹介したポイントをまとめます。

  • 練習前に「今日のゴール」を子どもたちと共有する
  • 「待ち時間」を観察タイム・振り返りタイムとして活用する
  • 「できていること」を具体的な言葉で褒める
  • 指示は短く、「止まる→聞く→動く」の3段階で
  • 怒鳴るより、静かに落ち着いて話す
  • 保護者に見せるのは「完璧な指導」ではなく「子どもへの誠実さ」

運動会練習は確かに大変です。でも、それを乗り越えたとき、あなたのクラスは必ず強くなります。そしてあなた自身も、一回り成長した教師になっているはずです。

焦らず、一日一日を大切に。応援しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました