「2学期の振り返り、今年はどう書かせよう」
学期末が近づくと、振り返りカードを配る時期がやってきます。ところが、いざ書かせてみると「楽しかったです」の一行で終わる子、鉛筆が止まったままの子、運動会のことだけでカードが埋まる子が出てきます。集めたカードを読んでも、所見や懇談に使えそうな言葉が見つからない。学期末になると、毎年このあたりで悩む先生は少なくありません。
2学期は行事が多く、4か月近く続く長い学期です。材料が多いぶん、子どもにとっては「どこから思い出せばいいか分からない」学期でもあります。振り返りが書けるかどうかは、カードの項目と書かせ方で大きく変わります。
この記事では、教員10年・担任6年の元教員の立場から、2学期の振り返りの書かせ方を、コピーして使えるカードの項目例、書き出しの文例、声かけとコメントの例文の形でまとめました。
2学期制の学校は、「2学期の振り返り」を「前期の振り返り」、または冬休み前に書く「後期途中の振り返り」と読み替えて使ってください。
2学期の振り返りはいつ書かせる?おすすめは学期末の2〜3週間前
振り返りを書かせる日として多いのは、終業式の直前です。ただ、学期最後の週は大掃除や配布物、通知表の準備で慌ただしく、書く時間も、担任が読む時間も取りにくくなります。
おすすめは、学期末の2〜3週間前に書かせて、所見を書く前に手元にそろえておくことです。子どもの言葉を所見や懇談の材料に使えて、コメントを返す時間も取れます。
あわせて、学期の途中で次のような「小さな振り返り」を残しておくと、学期末に書くときの材料になります。
- 行事が終わった直後に、3行だけの振り返りを書いておく
- 月の終わりに、「今月がんばったこと」を一言だけ書く
- 9月に書いた2学期の目標カードを、学期の途中で一度見返す
学期末は、これらを見返しながら書く「まとめの振り返り」にすると、材料に困りにくくなります。2学期制の学校なら、前期が終わる9月下旬〜10月上旬がこの時期にあたります。
振り返りカードの項目例(コピーして使える)
項目が多すぎると書く前に疲れてしまい、少なすぎると「楽しかった」で終わります。基本は5項目です。学級の実態に合わせて、短縮版や選択式と使い分けてください。
基本の5項目
【2学期の振り返り】
① 2学期の初めに立てた目標と、どのくらいできたか(◎・〇・△に丸)
② 2学期にいちばんがんばったこと(どんな場面で、何をしたか)
③ できるようになったこと・1学期から変わったこと
④ 友だちにしてもらってうれしかったこと/友だちのよいところ
⑤ 3学期にがんばりたいこと
短縮版(時間が取れないとき・書くのが苦手な子が多いとき)
① 2学期にがんばったこと
② できるようになったこと
③ 3学期にがんばりたいこと
選択式を組み合わせた版
① 2学期にがんばったことに丸をつけよう
(授業・係や当番・行事・友だちとのかかわり・毎日の生活・その他〔 〕)
② 丸をつけたことについて、一つ書こう
③ 3学期の自分に一言
④の「友だちのこと」は通信に使いやすい項目ですが、友だち関係に悩んでいる子には書きにくい項目でもあるので、「書ける人だけ」としておくと安心です。
書き出しの型と文例(子どもが書く例)
「何を書けばいいか分からない」子には、書き出しの型を黒板に示しておくと書き始めやすくなります。型は次の4つです。以下の文例は、説明のために作った架空の例です。
型1:「最初は〜だったけど、今は〜」(変化を書く)
【例】最初は発表するときに声が小さくなっていたけど、今は自分から手をあげられる日がふえました。となりの人に話してから発表すると、言いやすいことが分かりました。
型2:「〇〇のとき、〜をがんばりました」(場面を書く)
【例】運動会の練習のとき、列がそろうように前の人を見て動くことをがんばりました。本番では、みんなと同じタイミングで動けてうれしかったです。
型3:「目標は〜でした。〜はできたけど、〜はまだです」(目標と比べる)
【例】2学期の目標は「忘れ物をしない」でした。前の日に準備をするようにしたので、10月からはほとんど忘れなくなりました。でも、朝の準備がおそくなる日がまだあります。
型4:「〇〇さんが〜してくれて、うれしかったです」(友だちのことを書く)
【例】係の仕事を忘れていたとき、〇〇さんが「いっしょにやろう」と声をかけてくれました。今度は自分も、困っている人に声をかけたいです。
どの型も、「楽しかった」「がんばった」のあとに、どんな場面だったかを一文足すのがコツです。「そのとき、何をしていた?」と自分に聞いてから書こう、と伝えておくと、具体的な場面が出てきやすくなります。
書く前の手立て:思い出す材料をそろえる
振り返りが書けない理由の多くは、文章の力よりも「思い出せない」ことにあります。書く前に、次のような材料をそろえておくと書きやすくなります。
- 2学期の出来事を黒板に並べる:9月から順に、行事や学習、学級の出来事を子どもと一緒に書き出す
- 9月の目標カードを手元に戻す:自分が何を目標にしていたかを見てから書く
- 写真や掲示物を見る:教室に貼ってある作品や行事の写真を見ながら思い出す
- 書く前にペアで話す:「2学期にがんばったこと」を隣の人と1分ずつ話してから書く
- 言葉のヒントを示す:「〜できるようになった」「〜に気をつけた」「〜がうれしかった」など、使える言葉を掲示しておく
なかでも取り入れやすいのが、話してから書く流れです。口に出して話せたことは、文にもしやすくなります。書く時間の前に話す時間を数分取るだけで、書き出しで止まる子は減りやすくなります。
書けない子・一行で終わる子への声かけ例文
声をかけるときに気をつけたいのは、責めないこと、ほかの子と比べないことです。「もっと書けるでしょう」「〇〇さんはこんなに書いているよ」は、書く気持ちをかえって小さくしてしまいます。声かけは、思い出す手伝いと、書いたことを広げる手伝いに絞ります。
何も書けずに止まっている子へ
- 「黒板の中で、覚えていることはどれ?指でさしてみて」
- 「9月の目標、何だったか一緒に見てみようか」
- 「まず①だけ書けたら十分だよ」
「楽しかったです」の一行で終わる子へ
- 「何をしていたときが、いちばん楽しかった?」
- 「そのとき、だれと一緒だった?」
- 「いま先生に話してくれたこと、そのまま書いてみよう」
「がんばった」だけで終わる子へ
- 「がんばったとき、どんなことに気をつけていた?」
- 「1学期と比べて、変わったなと思うところはある?」
一行でも、その子なりに思い出して書いた一行です。まずは「書けたね」と受け止めてから質問すると、子どもも答えやすくなります。
書くことが極端に苦手な子や、特別な配慮が必要な子には、書く量にこだわらない方法も選べます。
- 口頭で聞き取って、担任が書き取る(読み聞かせて「これでいい?」と確認する)
- 選択式の項目だけにする(丸をつけるだけでも振り返りになる)
- 書き出しの型を書いた紙を渡し、空欄を埋める形にする
- タブレットで入力する、絵や記号で表す
振り返りの目的は、文章をたくさん書くことではなく、自分の2学期を見つめることです。書く量ではなく、本人が自分のことを言葉にできたかを大切にしてください。
担任のコメント(返事)の例文
集めた振り返りには、一言でもコメントを返すと、子どもは「読んでもらえた」と感じられます。次の3つを意識すると、短くても中身のあるコメントになります。
- 書いてあることから一つ拾う(全体をまとめてほめない)
- 担任が見ていた場面を一つ足す
- 3学期につなげる
目標に向けて取り組めた子へ
「忘れ物をしない」という目標、前の日に準備をする工夫で続けられましたね。自分で方法を考えて続けられたことが、いちばんの成長です。3学期も楽しみにしています。
行事のことを書いた子へ
運動会の練習で、前の人をよく見て動いていたこと、先生も見ていました。みんなでそろえようとする気持ちが、本番の動きにつながっていましたね。
一行だけ・短く書いた子へ
「〇〇が楽しかった」と書いてくれてありがとう。〇〇のとき、友だちと笑いながら取り組んでいた顔を覚えています。3学期も、楽しいと思える時間をたくさん見つけていきましょう。
「できなかった」と書いた子へ
できなかったことに自分で気づけるのは、次に進む力があるからです。〇〇のときに続けようとしていた姿を、先生は知っています。3学期は、どこから始めるか一緒に考えましょう。
短く書いた子にこそ、担任が見ていた場面を一つ書き足して返すと、「先生は見てくれている」と伝わります。〇〇の部分は、その子の実際の場面に置き換えてください。
書いた振り返りの使い道:通信・所見・懇談・3学期の目標
振り返りは、コメントを付けて返して終わりにするにはもったいない材料です。次の4つに使えます。
学級通信に載せる
担任をしていた頃、私は子どもが書いた振り返りや作文から一部を選び、匿名で学級通信に紹介していました。2学期の振り返りは、12月の通信や冬休み前の号に使えます。冬休み前の号の組み立ては学級通信 12月・冬休み前号の例文を参考にしてください。載せるときの了承のとり方や、本人が特定されない形にする配慮は学級通信11月号の例文で紹介しています。
所見の材料にする
振り返りに書かれた言葉は、担任の記憶にない場面を教えてくれます。「できるようになったこと」の欄は、担任のメモと合わせると、所見の「変化」の部分の手がかりになります。日々の記録の取り方と、振り返りカードを含めた材料の拾い先は通知表の所見で書くことがない子の3分メモ法で、行事の場面の書き方は所見の運動会・学習発表会の文例で紹介しています。ただし、所見は担任が見た事実で書くのが基本です。子どもの自己評価は書き写さず、見直す場面を探す手がかりとして使います。
個人懇談で話す
12月に個人懇談がある場合は、振り返りを手元に置いておくと話のきっかけになります。「〇〇さんは、2学期にいちばんがんばったことに△△を書いていました」と本人の言葉から入ると、保護者も家庭での様子を話しやすくなります。カードを見せる場合は、事前に本人の了承をとっておきます。
3学期の目標につなげる
振り返りカードは、3学期の初めに本人に返して、目標を立てるときにもう一度使います。「3学期にがんばりたいこと」の欄を見ながら目標を書くと、2学期からつながった目標になります。終業式の日に、学級全体の振り返りから見えたことを担任の話として伝えるのもおすすめです。
終業式の日に学級で話す内容は、終業式の担任の話の例文で紹介しています。
まとめ:2学期の振り返りは「思い出す材料」と「返し方」で変わる
- 書かせるのは学期末の2〜3週間前。所見を書く前に手元にそろえる
- 項目は基本の5項目。実態に合わせて短縮版・選択式を使い分ける
- 書き出しの型を示し、「楽しかった」のあとに場面を一文足す
- 書く前に、黒板・目標カード・ペアでの会話で思い出す材料をそろえる
- 書けない子は責めず比べず、質問で引き出す。口頭での聞き取りや選択式も選べる
- コメントは、書いてあることを一つ拾い、担任が見ていた場面を足す
- 通信・所見・懇談・3学期の目標に使い回す
振り返りは、子どもにとっては2学期を見つめる時間で、担任にとっては学期末の仕事を支える材料です。項目や文例は、学級に合わせて言葉を変えて使ってください。
📝 所見の文例をもっと手元に置きたい先生へ
2学期の振り返りは、そのまま所見の材料になります。ただ、振り返りが短い子は、文にするところで手が止まりがちです。書くことが見つからない子の文例、課題が多い子のネガ→ポジ言い換え表、運動会・学習発表会など2学期行事の文例、締めの一文、提出前に使えるNG表現チェックリストをまとめた文例集をnoteで公開しています。3分メモに使えるWordの記録用紙も付けました。
この記事のカードと文例だけでも振り返りは書かせられるように作ってあります。振り返りから所見までの作業をまとめて短くしたい方は、のぞいてみてください。
▶ 書くことが見つからない子・課題が多い子の所見文例集(2学期・後期版):https://note.com/bobopapa07/n/n4bfca8f52879

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