通知表の所見 運動会・学習発表会の書き方|2学期の行事文例20

通知表の所見で運動会・学習発表会など行事を書くときの切り取り方 元教師のアドバイス

「運動会では、最後まで一生懸命がんばりました」

2学期の所見を書いていて、気づけばこの一文を何人分も打っている。行事は子どもが生き生きしている場面のはずなのに、所見にすると、どの子も同じ文になってしまう。そんな経験はないでしょうか。

2学期(2学期制なら後期)は、運動会、学習発表会や音楽会、校外学習と行事が続きます。材料が増える時期のはずが、「がんばりました」の先に進めず手が止まる先生は少なくありません。

この記事では、通知表の所見で運動会などの行事を書くときに、どこを切り取ればその子だけの文になるかを整理し、運動会・学習発表会・校外学習などの文例20をまとめました。主役ではなかった子、休みがちだった子、本番で思うようにいかなかった子の書き方も扱います。

成績処理から所見までの通知表づくり全体の段取りは、こちらの記事にまとめています。

行事の所見が「がんばりました」で終わってしまう理由

学級全員が同じ行事に出ているから

運動会の団体演技も学習発表会の劇も、学級の全員が同じ日に同じ舞台に立ちます。行事の名前と「がんばりました」だけでは、35人の所見に同じ文が並びます。必要なのは行事の説明ではなく、その中でその子が何をしていたかです。

記憶に残るのが「本番の数分」だけだから

練習は何週間も続きますが、学期末に思い出せるのは本番の印象です。それも一人一人の動きではなく全体の印象なので、所見は「立派でした」「感動しました」という先生の感想で埋まっていきます。

保護者も本番を見ているから

見落としがちなのがこの点です。運動会や学習発表会は、多くの保護者が見に来ています。そこに「本番では堂々と演技しました」と書いても、新しく伝わることはあまりありません。

裏を返せば、保護者が見ていない練習や準備、行事のあとの様子こそ、所見で届ける価値がある情報です。

行事の所見は「4つの切り取り口」から1つを選ぶ

行事を次の4つに分けて、どこを切り取るかを先に決めます。

切り取り口 見るところ 書き出しの例
役割 係・パート・役・班の中で受け持ったこと 〇〇係として、
練習の過程 練習の途中で工夫したこと、やり方を変えたこと 〇〇の練習では、
本番 当日の行動(出来ばえではなく、したこと) 本番では、
その後の変化 行事のあと、ふだんの学習や生活に出てきた変化 〇〇のあとは、

1人の所見で使うのは、基本は1つ、字数に余裕があれば2つまでです。全部を詰め込むと、どれも一言ずつのぼんやりした文になります。

迷ったら、本番以外の3つから選びます。役割の中身も、練習の途中の工夫も、行事のあとの変化も、学校で子どもを見ている先生にしか書けません。

「本番」を選ぶなら、出来ばえではなく行動を書く

本番を書くこと自体は問題ありません。気をつけたいのは「上手に踊れました」「堂々と演じました」のような出来ばえの言葉です。出来ばえは受け取り方が分かれ、ほかの子との比べ合いにもつながります。

本番でしていた行動を書けば、出来ばえに触れなくても本番の姿は伝わります(下の文例1)。

メモを型に当てはめる

切り取り口が決まったら、「場面→行動→価値づけ」の型に当てはめます。

メモ:10/16 運動会の練習 整列のとき、列の後ろから人数を数えて先生に報告

運動会の練習では、整列のたびに列の人数を後ろから数えて確かめ、そろったことを自分から知らせに来ていました。全体が動きやすくなるよう、周りを見て行動する姿が見られました。

この型と、元になるメモの取り方は、1本目の記事でくわしく紹介しています。

メモを所見の文にする型と、1日3分で続けられるメモの取り方は、こちらの記事で紹介しています。

2学期制(後期)の学校の場合

後期の所見に書けるのは、後期の行事です。運動会が前期にあった学校では、後期は学習発表会や校外学習など10月以降の行事から選びます。3学期制でも運動会が春の学校は同じです。後期は学年末の所見なので、締めの「3学期も」は「次の学年でも」に置き換えてください。

行事別の所見文例17(運動会・学習発表会・校外学習ほか)

〇〇は、学校での正式な行事名や実際の場面に置き換えてください。文例は「型」として使い、事実と違う部分は必ず書き換えるのが前提です。【 】はその文例の切り取り口です。

運動会・体育的行事の文例

  1. 【本番】運動会の〇〇(団体演技)の本番では、隊形が変わる場面でも、前後の友達との間隔を確かめながら落ち着いて移動していました。練習で覚えた立ち位置の目印を最後まで守り、全体の形をつくる一人として演技をやり遂げました。
  2. 【役割】運動会では得点係として、競技が終わるたびに得点を計算し、係の友達と二人で確かめてから得点板に表示していました。間違いのないよう手順を守って仕事を進める姿に、任された役割への責任感が表れていました。
  3. 【練習の過程】〇〇(表現運動)の練習では、タブレットで撮影した自分たちの動きを見返し、腕を伸ばす高さを班の友達とそろえる工夫を重ねました。見る人の側に立って、動きを少しずつ磨いていきました。
  4. 【本番】団体競技の〇〇では、練習のときにチームで決めた掛け声を本番でも自分から出し、全員が力を入れるタイミングをそろえるきっかけをつくっていました。練習で決めたことを、本番の場でもやり通す力があります。
  5. 【その後の変化】運動会の練習で取り組んだ「声をかけ合って動きをそろえる」やり方を、運動会のあとも休み時間の大縄跳びで続けていました。行事で身につけたことを、ふだんの遊びの中に生かしています。

学習発表会・音楽会の文例

  1. 【役割】学習発表会の劇では〇〇の役を担当し、その人物がどんな気持ちでいる場面なのかを考えながら、立ち方や手の動きを自分で工夫していました。役の気持ちを想像して、体全体で表そうとする姿が見られました。
  2. 【練習の過程】音楽会に向けた合唱の練習では、歌詞の意味を学級で話し合う時間に、「〇〇」という言葉に込められた思いについて自分の考えを伝えました。その考えをもとに、どこをやわらかく歌うかを考えながら練習を重ねていました。
  3. 【本番】学習発表会では、〇〇の学習で調べたことを発表しました。会場に向けた問いかけの言葉を自分で考えて入れ、聞いている人と一緒に考えるような発表にしていました。
  4. 【その後の変化】学習発表会に向けて、聞く人の方へ顔を上げて話す練習を重ねてきました。発表会のあとは、音読や授業での発表でも、聞き手を見ながら話す姿が増えています。

校外学習・遠足・社会科見学の文例

  1. 【役割】遠足の班別行動の計画づくりでは、班の全員に行きたい場所を聞き、回る順番を地図に書き込んで計画にまとめました。一人一人の希望を生かそうとする姿勢が、班の話し合いを支えていました。
  2. 【本番】〇〇(見学先)では、見たことを書き留めるだけでなく、「なぜ〇〇なのだろう」と疑問に思ったことをメモしていました。学校に戻ってから、その疑問を本や資料で調べ、自分なりの答えをまとめました。
  3. 【本番】遠足では、昼食のあとに班で場所を移る前、敷物のまわりにごみが残っていないかを自分から確かめていました。学校の外でも、使った場所をきれいにして立ち去ろうとする心配りがあります。
  4. 【その後の変化】社会科見学で見た〇〇の工夫を、その後の社会の学習で教科書の内容と結びつけ、「見学で見たのと同じだ」と発言していました。自分の目で確かめたことを、教室での学びにつなげています。

その他の2学期の行事・係・委員会の文例

  1. 【役割】宿泊学習では部屋の係を務め、朝の片付けの分担を同じ部屋の友達と相談して決めました。出発前には部屋を見て回り、忘れ物がないかを確かめていました。集団で過ごす中で、自分にできる役割を見つけて動いていました。
  2. 【本番】作品展では、自分の作品に添える説明カードに、〇〇を工夫したところを、見る人に伝わる短い言葉で書き表しました。作品を見てもらう相手を考えて、言葉を選んでいました。
  3. 【役割】放送委員会では、昼の放送で読む原稿を、低学年の子にも分かる言葉に自分で書き直してから読んでいました。聞く相手を思い浮かべて言葉を選ぶ力が育っています。
  4. 【役割】運動会のスローガンを決める学級会では司会を務め、決める前に、まだ発言していない人にも意見を聞く時間をとってから話し合いをまとめていました。みんなが納得して決められるよう、進め方を考えて行動できました。

主役でなかった子・休みがちだった子・本番で失敗した子の書き方

この3タイプは、文例より先に考え方を決めておくと迷いが減ります。

主役でなかった子:役の大きさではなく「持ち場」を書く

劇の主役や目立つ係の子はすぐに書けます。難しいのは、大勢の中の一人として出ていた子です。

このときは、その子の持ち場に目を向けます。合唱なら声のパート、団体演技なら立ち位置、劇なら担当した場面です。持ち場の中で何を意識していたかが書ければ、役の大きさは関係なくなります。「主役ではありませんでしたが」「出番は少なかったものの」のような前置きは、役の大小で子どもを見ているように読まれるので入れません。

  1. 音楽会の合唱では、練習の初めに自分で決めた「歌い出しをそろえる」という目当てを、毎回の振り返りに書き続けていました。全体の中で自分にできることを考え、本番まで練習を重ねました。

休みがちだった子:参加できた部分の事実だけを書く

練習期間に休みが多かった子には、「練習にはあまり参加できませんでしたが、本番では〜」と書きたくなります。ですが、この前置きは来られなかった日のほうを強く印象づけます。

書くのは、参加できた日や本番の一場面の事実だけで、短くてもかまいません。行事の当日に休んでいた場合は、行事にこだわらず別の場面から材料を探します。欠席の理由や日数には触れず、迷うときは学年主任と相談してから書いてください。

  1. 学習発表会では、〇〇の場面の説明を担当し、当日は会場に向けて自分の言葉で伝えていました。〇〇について調べたことを、聞く人に届けることができました。

本番で失敗した子:失敗の場面は書かず、その前後を書く

本番で転んだ、せりふが出てこなかった、合奏で入りを間違えた。こうした場面は保護者も会場で見ていて、本人もよく覚えています。所見で触れると、通知表を開くたびに思い出すことになります。

書くのは、失敗の前の練習の過程か、本番のあとの振り返りです。本人が「次はこうする」と前を向いている言葉があれば、それがいちばんの材料になります。失敗を乗り越えた過程まで書きたい場合は、課題を書くときと同じく「伸びとセットで書けるか」で判断します。

うまくいかなかったことを所見に書くかどうかの線引きと、言い換えの型は、こちらの記事で紹介しています。

  1. 〇〇の練習では、その日できるようになったことを、練習の終わりに一言ずつノートに書き留めていました。本番のあとの振り返りには「次は〇〇したい」と書き、もう次の目当てを見つけています。

行事の所見は「行事の前後」のメモで決まる

行事の所見の材料は、本番当日よりも、その前後にあります。次の4つだけやっておくと、学期末がかなり楽になります。

1. 練習が始まる日に、役割を名簿に書き写す

係、パート、役、班を、名簿の横に書き写しておきます。これだけで「役割」の切り取り口は全員分そろい、学期末に「あの子は何の係だったか」を思い出す時間もなくなります。

2. 練習期間は「その日に見る子」を決めておく

練習中に全員を見ようとすると、結局は目立つ子しか目に入りません。名簿順に「今日見る子」を数人決め、練習後に場面と行動だけをメモします。1本目の3分メモ法がそのまま使えます。

3. 本番の翌日に、名簿を上から見る

名簿を上から順に見て、場面が浮かぶ子には一言ずつメモし、浮かばない子には印をつけます。印の子は、練習の様子を振り返ったり、学年や専科の先生に様子を聞いたりして材料を探します。

4. 振り返りカードの問いを一つ変える

「がんばったことは何ですか」と聞くと、「最後まで一生懸命がんばった」という答えが多く返ってきます。「練習の途中で、やり方を変えたことは?」「行事のあとも続けていることは?」と聞くと、「練習の過程」と「その後の変化」の材料が子どもの言葉で集まります。

行事の所見で避けたい表現

行事の所見には、ありきたりな言葉や比べる言葉が入り込みやすくなります。書き終えたら見直してください。

避けたい表現 保護者にはこう伝わる 書き換えの方向
一生懸命がんばりました(だけ) 何をがんばったのか分からない 切り取り口を一つ決めて、行動で書く
学年全体で〜/みんなで〜 行事の報告で、うちの子のことがない 「その中で〇〇さんは」と個人に絞る
主役の〜/選手に選ばれ/〇位 順位や序列で見られている 持ち場の中での行動を書く
惜しくも〜/残念ながら〜 結果や勝ち負けで評価されている 結果には触れず、過程かその後を書く
緊張していましたが〜 前置きで下げられた、気持ちを決めつけられた 前置きを消し、実際にしたことを書く
最高の思い出になりました 先生の感想で、子どものことが分からない 本人の振り返りの言葉を引く

行事名は「体育大会」「学芸会」など学校ごとに違うので、正式な名前にそろえます。字数や表記の決まりがあれば、そちらを優先してください。

行事の所見は、本番までの道のりを届ける場所

運動会や学習発表会の本番は、保護者も見ています。だからこそ所見では、保護者が見ていない数週間を届けます。書けるのは、本番の数分の評価ではなく、そこまでの道のりとその先です。

まだこれから行事があるなら、まずはその行事の役割一覧を名簿に書き写すところから始めてみてください。

📝 所見の文例をもっと手元に置きたい先生へ

この記事の文例20とは別に、2学期(後期)の行事・係・委員会の文例30(運動会・学習発表会・校外学習・係や委員会)をまとめた文例集をnoteで公開しています。書くことが見つからない子の文例60、課題が多い子の言い換え表40組と「課題→手立て→伸び」の完成文例20、締めの一文30、提出前に使えるNG表現チェックリスト30項目も入っています。3分メモに使えるWordの記録用紙も付けました。

この記事の切り取り口と文例だけでも行事の所見は書けるように作ってあります。文例のストックを手元に増やして、学期末の作業時間を少しでも短くしたい方は、のぞいてみてください。

▶ 書くことが見つからない子・課題が多い子の所見|3分メモから仕上げる言い換え文例集(2学期・後期版)(500円):https://note.com/bobopapa07/n/n4bfca8f52879

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