「4月、5月はうまくいってたのに、6月に入ってから、なんかクラスの空気が違う」
「私語が増えた、聞いてない子が増えた、休み時間と授業の切り替えが遅い。注意することばかりが増えていく」
新任の先生で、6月に入って「あれ、クラスが緩んできた……?」と感じている方、本当に多いです。私自身、1年目の6月、5月までうまくいっていたはずのクラスが、なぜか少しずつ崩れていくのを、リアルタイムで眺めていました。
結論から言うと、6月の「中だるみ」は、子どものやる気不足ではなく、教師と子どもの両方に起きる”季節的な緩み”です。GW明けの荒れ、5月病とも違う、6月特有の現象。この記事では、6月のクラスの緩みを叱らずに締め直すための5つの方法を、私の失敗談を交えてお伝えします。
なぜ6月にクラスは緩むのか
6月に学級が中だるみする理由は、構造的に説明できます。
- 4〜5月の張りつめが切れる:新学年スタートの緊張感が消える月
- 大きな行事がない谷間:4月の学級開き、5月の家庭訪問・運動会が終わり、目標が消える
- 梅雨で外遊びが減る:エネルギーが発散できず、教室内が騒がしくなる
- 先生自身も6月病に入る:教師のテンションが下がると、クラス全体の空気も下がる
つまり、6月の緩みは 「子どもが悪い」「あなたの指導が下手になった」のではなく、6月という月の構造から生まれます。新任の先生がこの仕組みを知らずに「自分の指導力が落ちた」と思い込むと、自己嫌悪に入って、よけいクラスが崩れます。
教師側の6月病については 新任教師の『6月病』|5月を乗り切ったのに無気力になる原因と回復法 に書いていますが、こちらは子ども・学級側の話です。
1年目の私の「6月の崩れ方」
1年目の6月、私のクラスはこんな感じで緩んでいきました。
第1週:朝の会で私語が少し増える。「あれ?」と思うが見過ごす
第2週:授業中の手遊びが増える。注意する回数が増える
第3週:宿題未提出が増え始める。叱ると一時的に戻るが、3日でまた緩む
第4週:給食の時間がだらだら、掃除もぐだぐだ。何を言っても響かない
この時、私は 「個別に注意して直す」を続けていました。一人ひとり呼んで叱り、連絡帳に書き、休み時間に説教する。でも、クラス全体の空気は変わらない。むしろ「先生はずっと怒ってる人」になっていきました。
後でベテランに教わったのは、「6月の緩みは、個人を叱って戻すんじゃなくて、クラスの空気を一度”締め直す”んだよ」ということ。GW明けの荒れの兆候への対応は GW明けに子どもが急に荒れてきた時の対応 にも書いていますが、6月の中だるみは荒れというより “じわじわ緩む”のが特徴。だから対応も違ってきます。
6月のクラスを締め直す5つの方法
1. クラスの状態を「言葉にして共有する」
緩みを直す第一歩は、その緩みを言葉にして全体に共有すること。子どもは自分たちが緩んでいることに、意外と気づいていません。
ただし、ここで 「最近のクラスはダメだ」「気が抜けている」と批判してはいけない。事実だけを淡々と言葉にします。
「最近、朝の会の私語が増えてるなって先生は感じてる。みんなはどう?」
「4月のクラスと今のクラス、何か違うと思う人いる?」
子どもに「自分たちはどう?」と問うと、ハッとして気づき始めます。叱るのではなく、気づかせるのが第一歩。
2. 「1週間だけ基本徹底ウィーク」を宣言する
緩みっぱなしのクラスに、いきなり「ちゃんとしよう」と言っても響きません。代わりに 「1週間だけ、基本の約束を徹底し直す」と期間限定で宣言します。
- 朝の挨拶を大きな声で
- 授業の始まりは黙ってチャイムを聞く
- 給食時間は時間内に終わる
- 掃除時間は持ち場を最後まで
4月のクラスがやっていた基本の約束を1つか2つ選んで、「来週の月曜から金曜の1週間だけ、これを徹底する」と区切る。期間限定にすると、子どもも「1週間ならがんばれる」となります。
1週間後に「できたね」と認めれば、その感覚がまた1週間続きます。これを繰り返すと、6月を乗り切れます。
3. 「できているところ」をあえて言葉で認める
新任が陥りがちなのが、緩んでいる時ほど 「できていないこと」に目が向くこと。でもこれをやると、子どもは「先生は自分たちのダメなところしか見ない」と感じて、よけい萎縮します。
逆に、緩み始めた時こそ 「できているところ」を言葉で拾う。
「3時間目、○○くんが机を運んでくれたの、先生見てたよ」
「給食の準備、今日は5分早く終わったね」
「いま、△△さんが先に静かになったの、いいスタートだね」
悪い行動を叱るより、良い行動を言語化するほうが、長期的にクラスは整います。「見てる側」の視線を、悪→善に向け直すのがコツです。
4. 「1か月前のクラス」を一緒に思い出す
子どもは1か月前の自分たちのことを、案外覚えています。「4月、こんなクラスだったよね」と一緒に思い出す時間を作ります。
「4月の最初、みんなが廊下で並んだ時、すごく上手だったの覚えてる?」
「4月のあの朝の会、めっちゃ静かに始まったよね」
これを 「あの時のクラスに戻ろう」と未来志向で結ぶ。「ダメになった」ではなく「もともとできてたよね、戻ろう」のフレームにする。過去の成功体験を呼び戻すのが、説教より100倍効きます。
5. 「6月の小さな目標」を1つだけ作る
6月が中だるみする最大の理由は、「目指す行事がない谷間」だから。だったら、自分たちで小さな目標を作ればいい。
たとえば、
- 「6月中に、給食を時間内に終わる日を10日作る」
- 「6月中に、全員が忘れ物ゼロの日を1日作る」
- 「7月の終業式まで、朝の挨拶を続ける」
クラス全員で取り組める 小さな共通目標を1つだけ作って、達成したら全員でちょっとお祝いする。たったこれだけで、6月のクラスに「目指す先」が生まれます。学級全体の仕組みを整える発想は 宿題・提出物が集まらない学級のテコ入れ とも共通します。
絶対にやってはいけないNG対応
6月の中だるみで、新任が陥りがちなNG対応を3つ。
- 「4月はちゃんとできてたのに、最近のあなたたちは……」と過去と比較して責める:子どもは過去の自分も否定された気持ちになる
- 「もう知らない、勝手にしなさい」と突き放す:先生が諦めた瞬間、クラスは本格的に崩れる
- 毎日「ちゃんとしなさい」を連呼する:抽象的な指示は通らず、子どもは聞き流すようになる
追い詰められるとやりがちですが、6月の緩みは 「責める」「諦める」「連呼する」では絶対戻りません。
まとめ:6月の中だるみは「叱る」ではなく「締め直す」
6月のクラスの緩みは、子どものやる気不足でもあなたの指導力低下でもありません。4〜5月の張りつめが切れる、構造的な緩みです。だから、対処も「叱る」ではなく「締め直す」になります。
- クラスの状態を言葉にして共有する(叱らず気づかせる)
- 「1週間だけ基本徹底ウィーク」を期間限定で宣言する
- 「できていないこと」より「できていること」を言語化する
- 4月のクラスを一緒に思い出し、戻ろうと呼びかける
- 6月の小さな共通目標を1つだけ作る
全部を一気にやる必要はありません。まずは「できているところを言葉で拾う」だけ、明日から試してみてください。1週間でクラスの空気が変わってきます。
6月の緩みを個別注意で戻そうとして消耗していた1年目の私に声をかけられるなら、こう言います。「6月はそういう月だよ。個人を叱るんじゃなくて、クラスの空気を締め直すんだ。叱るより、4月の自分たちを思い出させてあげな」と。6月を締め直せるようになることは、新任教師が”年間を通じて学級を持たせる感覚”を身につける、大きな一歩です。

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