「通知表を渡しながら、何を話せばいいんだろう」
12月の個人懇談は、4月や1学期の面談とは少し空気が違います。机の上には通知表があり、保護者はまずそこに目を落とします。評価が下がった子の保護者に何と言えばいいのか。「成績が心配で」と言われたら、どう答えればいいのか。前の晩になって、不安で手が止まる先生も多いのではないでしょうか。
私は元教員として10年働き、そのうち6年担任をしました。保護者面談は延べ100組以上です。担任をしていた年は、12月の懇談で通知表を渡していました。
この記事では、12月の懇談で話す内容を、5分の組み立てと、そのまま使える例文の形でまとめました。「成績が心配」「家で勉強しない」と相談されたときの答え方もあわせて紹介します。
12月の懇談が1学期の面談と違う3つのこと
通知表を渡す日である
12月の懇談では、保護者は評価という「結果」を手にしています。話の中心が、どうしても通知表に引っぱられます。だからこそ、通知表の話をする前に、何を伝えておくかの順番が大事になります。
なお、通知表を懇談では渡さず、終業式の日に子どもに手渡す学校や、2学期制で12月が後期の途中にあたる学校もあります。その場合は、通知表の部分を「2学期(後期)ここまでの様子」に置き換えて読んでください。
4月と比べて話せる
1学期の面談の頃は、まだ子どものことを知り始めたばかりでした。12月には、8か月分の姿を見ています。「4月はこうだったのが、今はこうなっている」と比べて話せるのは、12月の懇談ならではです。
冬休みの直前である
懇談が終わると、すぐに冬休みです。学校で過ごす時間が2週間ほど途切れる前に、家での過ごし方を一言伝えられる最後の機会でもあります。
私も担任をしていた頃、1学期の面談と比べて、12月は「4月からの成長」と「冬休みの過ごし方」の話をするようにしていました。
12月版 5分の組み立て
懇談の時間は学校によって違いますが、先生が話す部分はおよそ5分に収め、残りは保護者の話を聞く時間にしておくと、時間が足りなくなりにくくなります。
- 挨拶(30秒):来てもらったお礼と、2学期の行事などへの協力のお礼
- 4月からの成長(1分半):通知表を開く前に、具体的な場面を一つ伝える
- 通知表の説明(1分半):評価が変わったところと、その理由を短く
- 保護者の相談(残りの時間):「お家で気になっていることはありますか」と聞いて、あとは聞く
- 冬休みの話と締め(1分):家での過ごし方を一つだけ伝えて、3学期につなげる
ポイントは、通知表を開く前に「成長」の話をすることです。先に評価を見ると、保護者の気持ちは評価が下がったところに向かいます。先に成長の場面を聞いていれば、同じ通知表でも落ち着いて読んでもらいやすくなります。
12月の個人懇談でそのまま使える例文
〇〇は、実際の場面や教科に置き換えてください。例文は「型」として使い、事実と違うところは必ず書き換えるのが前提です。
4月からの成長を伝える例文
学習面
4月の頃は、分からない問題があると手が止まってしまうことが多かったのですが、最近は「ここが分からない」と自分から聞きに来るようになりました。分からないことを言葉にできるのは、学習を進めるうえで大事な力だと思っています。
生活面
4月は朝の準備に時間がかかることがありましたが、2学期に入ってからは、時計を見て自分で準備を終わらせています。毎日のことなので目立ちにくいのですが、しっかり育っているところです。
友だち関係
4月は決まった友だちと過ごすことが多かったのですが、2学期は班の活動で、あまり話したことのなかった友だちにも自分から声をかける場面を何度も見ました。関わる友だちの幅が広がってきています。
通知表を渡すときの例文
評価が上がった子
〇〇の評価が1学期より上がっています。テストの結果だけでなく、授業で〇〇していたことも評価に入っています。お家でも、結果と一緒に取り組み方をほめてもらえると、本人の自信になると思います。
評価が下がった子
〇〇は、1学期より評価が下がっています。2学期は〇〇の内容が難しくなり、〇〇のところでつまずきが見られました。ただ、分からないところを友だちに聞きながら取り組む姿は、1学期から変わっていません。3学期は〇〇の復習から、学校でも一緒に取り組んでいきます。
下がった理由は、言い訳ではなく事実として短く伝えます。そのあとに「変わっていないよさ」と「学校でやること」を続けると、保護者が一人で抱えずにすみます。
評価が変わらない子
評価は1学期と同じですが、中身は同じではありません。〇〇の学習では、1学期よりノートに自分の考えを書く量が増えています。評価には出にくい伸びも、お伝えしておきたいと思いました。
冬休みの過ごし方を伝える例文
冬休みは短いですが、年末年始で生活のリズムが崩れやすい時期です。起きる時間だけでも学校がある日と大きく変えないようにしてもらえると、1月のスタートが楽になると思います。
3学期は、今の学年のまとめの時期です。2学期に身についた〇〇を、冬休みのあとも続けてほしいと〇〇さんにも話しています。1月にまた様子をお伝えしますね。
冬休みのお願いは一つに絞ります。あれもこれもと並べると、どれも伝わりにくくなります。
「成績が心配」「家で勉強しない」と相談されたら
12月の懇談では、成績の悩みや「家で勉強しない」という相談を受けました。正直に書くと、そのたびに私が話せたのは、学校で頑張っていることと、「これからも一緒に考えていきましょう」ということくらいでした。家での勉強が変わるような、うまい答えを返せたわけではありません。
ただ、話を聞くことには重きを置いていました。保護者の悩みに共感しながら聞いていると、保護者がどんなことを考えているのかを話してもらえることがありました。そこから少しずつ「一緒に頑張ろう」という関係が生まれていった気がします。
ですから、上手に答えようとしなくて大丈夫です。まず聞くことから始めてください。
最初に返す共感の言葉
- 「心配になりますよね。話してくださってありがとうございます」
- 「毎日お家で見ていらっしゃるからこそ、気になりますよね」
話を広げる問い返しの例文
- 「お家では、どんなときに勉強が止まってしまう感じですか」
- 「〇〇さん本人は、成績のことを何か話していますか」
- 「お家で、これなら続いているということはありますか」
- 「3学期、どんなふうになってほしいと思っていらっしゃいますか」
問い返しは一つか二つで十分です。答えを探すためではなく、保護者が考えていることを知るために聞きます。
「一緒に考えていきましょう」で終わってもいい理由
家での勉強の悩みは、一度の懇談で解決するものではありません。その場で解決策を出そうとすると、「毎日〇分やらせてください」と、家庭に宿題を出すような形になりがちです。
懇談は12月で終わりではなく、3学期も続きます。学校で頑張っていることを伝え、「これからも一緒に考えていきましょう」で締める。それは答えから逃げているのではなく、保護者を一人にしないという約束です。言葉だけにならないよう、「学校でも〇〇の様子を見ておきますね」と、学校でできることを一つ添えると伝わりやすくなります。
学習の遅れが大きい、家庭の事情が絡んでいるなど、担任一人では判断しにくい相談は、その場で抱え込まず、学年の先生や管理職に共有してください。
準備は「所見のメモ」がそのまま使える
12月の懇談は、2学期の所見を書く時期とほぼ重なります。そして、懇談で話す「4月からの成長」と、所見に書く内容は、材料がほとんど同じです。
所見のために「場面・行動・変化」を記録する3分メモを取っていれば、それがそのまま懇談の準備になります。メモの取り方は通知表の所見で書くことがない子の書き方(3分メモ法)の記事で紹介しています。
懇談の準備と所見書きを一度に済ませるなら、次の順番がおすすめです。
- 名簿の横に、3分メモから「4月からの成長」の場面を一つずつ書き写す
- 同じ名簿に、通知表の評価が上がった・下がった・変わらないの印をつける
- 成長の場面をもとに所見を書く(懇談で話す内容と所見がそろう)
- 冬休みに伝えたいことを、一人一言だけ書き足す
名簿1枚が、懇談の手元資料になります。場面が浮かばない子は、懇談の前に気づけるので、残りの日数でその子を意識して見ることもできます。
12月の懇談でやりがちなNG
通知表を読み上げるだけ
通知表は、保護者が家で何度でも読めます。書いてあることをそのまま読むと、懇談の時間がそれだけで終わってしまいます。話すのは、通知表に書ききれなかった場面のほうです。
評価の言い訳から入る
「今回はつけ方が厳しくて」「テストが難しかったので」と、評価の弁解から話し始めると、保護者は「下がったところがある」ことだけを強く受け取ります。評価の説明は、成長の話のあとに、事実として短く伝えます。
ほかの子と比べる
「クラスで〇番目くらい」「平均より上」のような言い方は、安心させるつもりでも、比べられていると受け取られます。比べるのは、その子自身の4月の姿です。
先生が話し続ける
伝えたいことが多い12月ほど、先生が話して時間が終わりがちです。5分の組み立てで話す量を決めておくと、保護者の話を聞く時間が残ります。
まとめ:12月の懇談は「4月からの成長」を手渡す日
12月の個人懇談で話す内容は、次の5つです。
- 挨拶とお礼
- 通知表を開く前に、4月からの成長を一場面
- 評価が変わったところと、その理由を短く
- 保護者の相談は、答えるより先に聞く
- 冬休みのお願いは一つ、3学期につなげて締める
「成績が心配」と言われても、上手に答えられなくてかまいません。共感して聞き、「一緒に考えていきましょう」と伝えることが、3学期の関係につながります。
初めての面談の基本や、当日の流れの全体像は、新任の先生向けの個人面談の台本にまとめています。課題の多い子のことを前向きな言葉で伝えたいときは、所見の言い換えの記事の言い換え表が懇談でも使えます。
📝 所見の文例をもっと手元に置きたい先生へ
懇談で話す「4月からの成長」は、2学期の所見の材料とほぼ重なります。書くことが見つからない子の文例、課題が多い子のネガ→ポジ言い換え表、運動会・学習発表会など2学期行事の文例、締めの一文、提出前に使えるNG表現チェックリストをまとめた文例集をnoteで公開しています。3分メモに使えるWordの記録用紙も付けました。
この記事の例文だけでも懇談の準備はできるように作ってあります。所見と懇談の材料を手元に増やして、学期末の作業時間を少しでも短くしたい方は、のぞいてみてください。
▶ 書くことが見つからない子・課題が多い子の所見文例集(2学期・後期版):https://note.com/bobopapa07/n/n4bfca8f52879

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